2024富士山番外編 大江光正
昨年は10歳の孫に励まされ4年振りに山頂に立つことができましたが、下山で御殿場口を選択したことで明かりの無い下山道を延々と下ることになってしまいリーダーの判断ミスの怖さを痛感しました。今年は高齢者の遭難事故が多発して社会問題になっており、例年よりも慎重な登山計画で臨むことにしました。睡眠不足対策で前日は駒門のホテルに宿泊し、登山後には御殿場口8合目の赤岩館に宿泊してご来迎を拝んで下山する。
7月に76歳を迎え、春頃より悪化している脊柱管狭窄症の影響で腰の痛みと左足の痺れが常態化している中、39回目富士登山の目標は2つ。①山頂の浅間神社で70歳超高齢者の登山記帳をすること②あくまでも自力を貫き誰かの支援を受けることはしない。
7月24日の8時前に富士宮口5合目を出発。曇りで風が多少強いが登山には支障ない。新7合目までは同行した妻も順調な足取りで進んだが、元祖7合目頃になると風が強まり気温も低下して休みながら歩を進めるようになった。その後は雨の影響もあって8合目の小屋から御殿場口に移動して赤岩館にチェックイン。妻を残し12時半に御殿場登山道から山頂に向かう。強風・低温・霧と少し条件は悪いが徐々に高度を上げて行く。3200Mを過ぎで山頂も霧の合間から確認できるようになった。
さらに歩を進めていくが3350Ⅿ位では強風で立ち止まることが多くなり、体感温度が急激に下がり寒さが襲ってくる。防寒用のインナーを8合目の小屋に残してしまったため、歩き続けないと体が一気に冷えてくる。3400Ⅿ、3450Ⅿ状況はさらに悪化。1時間ほどで山頂。続けるか断念するか。60代であったら迷いもなかっただろうが、高齢者の遭難事故多発のなかで迷いはしたものの76歳の現実を受け止めて下山することにした。
下山を始めると霧も晴れて山頂が手招きしている。39回目の富士登山は御殿場登山道3450Ⅿで終了。この5年間、登山中止、須走口8合目、登山中止、富士宮口登頂、御殿場口3450Ⅿと山頂に1度しか立てていない。コロナによる入山禁止もあったが70代になった体力の衰えの現実は避けられないが、次回40回目は昨年同様の準備を重ね、何としても山頂に立ちたい。
大江電機の富士登山は8月初めに実施され新入社員3名を含むメンバーが登頂を果たした。彼らの感想文にそれぞれの想いが綴られているが、厳しさや辛さの先に得られる感動や感謝は日常生活の中では
中々味わえないものであると思う。やらない・できない理由を並べるよりも、やってみる・出来るまでやる姿勢が自らを鍛え成長させる。「富士山は何故登るのか?」答えは「登ればわかる」。山頂に立った人には「富士山の見え方が変わる」と伝えている。
今年から山梨県が入山料徴収や時間規制を強化して、富士山の登山者数は減少しているが、静岡県側との対応が違っており一貫した対応策をうちだすべきだと思う。自然環境保護・景観保護に必要な資金
は観光客に負担させるべきで、知床・上高地・富士山等への入山には一人1万円以上の入山料を徴収するとともに、夏場の富士山では指定した宿への宿泊なしには入山できないような制度を導入してはどうだろうか。
高齢者の単独登山事故が繰り返し報道される中8合目まで一緒に歩いてくれた妻、日頃から私の健康について関心を寄せてくれる大江電機のメンバー、大江電機の登山リーダーの役割を果たしてくれている阿南さん、皆さんの支えに感謝し感想後記といたします。ありがとうございました
2024年7月25日
大江光正