やったぜ富士登山レポート23 番外編

2023年富士登山感想文 番外編 大江光正

20年富士山入山禁止 21年単独挑戦は準備不足で8合目で断念 22年脊柱管狭窄症悪化で見送り
 「今年は必ず山頂に立つ」を2023年の目標に掲げ、年初から箱根や鎌倉ハイキングコース大山へと足を向け、確信と不安を抱きながら7月23日の9時に富士宮口5合目を出発し、14時15分に山頂の浅間神社に拝礼。38回目の富士山挑戦は4年ぶりに山頂に立つ事ができた。準備の重要性を再認識しました。

 今回は中国から来た娘夫婦と10歳の孫息子の4名で出かけました。このメンバーでは8合目まで行くのが限界で15時頃には5合目に戻ることになると思っていましたが、元祖七合の小屋を過ぎても皆の足取りは順調なので、このままのペースで頂上まで行けるかも知れないが、頂上まで行くと明るいうちには下山できないのでその時は山小屋に宿泊しようと安易に考えていました。
 8合目を過ぎると、孫が軽い高山病の症状を見せ始め、頭痛・吐き気が襲い休む回数が増えてきました。しかし、本人が諦めずに歩いていくので孫のペースに合わせて歩を進めました。最後の小屋を過ぎ、山頂までの最後の登りは流石に辛そうでしたが、もう嫌だとも辞めたいとも言いません。「あそこが頂上だ。一歩一歩、時間かけて前に進もう」と声を掛けてサポートしていきました。
 頂上に立っても「ヤッター!とか頑張ったぞ!」と喜びを表すこともなく、富士山を制覇したのは当然のような表情だったのは印象的でした。私の方は浅間神社にお礼のお参りをし、70歳以上の高齢者登山名簿に記帳させていただきました。大江光正 75歳 38回
私の前に記帳された方は2000回 新聞記事で一日3回も登っている人がいると記事が掲載されていましたので、その方でしょうか。38回がチョット恥ずかしいですね。

 これからが、リーダーとしての失敗談です。頂上から8合目他の山小屋に宿泊依頼の電話を入れるも、満室、満室、満室と断れ、四軒目で「今日は富士山の山小屋は予約で全て一杯だよ」と言われて断念。8合目の段階で電話をしておくべきだったと猛省。下山での混雑と足への負担を避けるため、御殿場口方面へ降りることにした。このルートは岩場がないので足は楽だが距離が長い。下山開始は15時。富士吉田口を下山しても20時頃なので、新御殿場5合目には20時半ころには到着できると判断した。
 19時半頃にはヘッドライトの明かりがなければ、前進もできない。その中を瓦礫砂の長い長い道を黙々と歩き続ける。孫の体調も万全でなく、娘も疲労から休む時間が長くなる。私は疲れたとも言えず、座ることもなく、皆をリードするのみ。救われたのは、孫の強い意志。標高2000Mを過ぎて高山病の症状が抜けると、私の手を握って、黙々と暗闇の中を歩き続けてくれる。私の判断ミスで辛い想いをさせてしまったが、不満も言わない孫の成長振りが私を励ましてくれた。
 長い長い、下りを終え新御殿場登山口についたのは21時半になってしまった。万一、孫がこれ以上歩けないと言って動けなくなってしまったら、大人3人で背負って下山できたのだろうか。51歳から25年目の富士登山。多少は分かっているつもりの油断が、同行者に大きなリスクを背負わせてしまった。「山を舐めるな!!」脳天を叩かれる思いである。
車を停めてある水ケ塚駐車場までは10KM程度あり、タクシーを呼んだがどこの会社も対応してくれないので、歩いて車を取ってこようと決心した時に、2人の青年が声を掛けてくれた。事情を話したら駐車場まで送りますよと快く引き受けてくれた。反省しきりの富士登山であったが、最後は青年達との出会いで心身共に救われました。
 25年間で初めての体験が重なり、私には新たな富士登山となりましたが、同行してくれた娘夫婦、私にエネルギーを注入してくれた優しい10歳の孫、そして2人の青年、最後に登りやすい天候を授けていただいた富士の山、ありがとうございます。
来年もまた挑戦できる自分でありたいと念じます 「素晴らしき哉!人生」

2023年7月23日 富士山登頂